政府が使用した韓国銀行のマイナス通帳が100兆ウォンを突破・・・公共資金管理基金まで使う

政府が今年7月までに韓国銀行から借りた一時借り入れ金が100兆ウォン（＝約10兆円）を超えたことが分かった。今年上半期基準で過去最大の91兆ウォン（＝約9兆円）を記録してから1ヵ月で借り入れ金が10兆ウォン（＝約1兆円）以上も増加したのだ。税収が足りなかった今年初めには、「基金貯水池」と呼ばれる公共資金管理基金からも4年ぶりにお金を借りていたのだ。

対政府一時借り入れ金制度は、政府が一時的な資金不足を解消するために韓国銀行（＝韓国の中央銀行）からお金を借りて使う制度だ。個人が銀行にマイナス通帳（信用限度ローン）を開いておき、お金が必要な度に随時使って返済する構造に近い。

◇公共資金管理基金まで引き出して使った・・・韓国銀行での累積ローンは105兆ウォン

6日に国会企画財政委員会所属で"共に民主党"のオ・ギヒョン議員が韓国銀行から入手した資料によると、今年7月末までに政府が韓国銀行から一時的に借り入れた額は、昨年同期より4.3%増加した105兆1,000億ウォン（＝約11兆円）だった。

今年上半期に政府が借り入れた金額は91兆6,000億ウォン（＝約9兆6,000億円）で、関連の統計が確認できる2011年から過去最大を記録した経緯がある。ところがその後の1ヵ月で政府はさらに13兆5,000億ウォン（＝約1兆4,000億円）を借り、合計100兆ウォン（＝約10兆円）を超えることになった。

借り入れ件数は目に見えて増加した。政府は7月末まで韓国銀行に計55回の借り入れを要請していた。今年1月から7月末まで週末と祝日を除く営業日が計145日だったことを考慮すれば、2.6日に1回の割合で借り入れを要請していたのだ。1～7月の累積では昨年の54件より1件、2022年の11件より44件増えた。

（中略）

税収が少なかった今年3月には、一つの通帳でも足りず、複数の通帳から資金を引き出して使ったりもしていた。韓国銀行は▲統合口座から40兆ウォン（＝約4兆2,000億円）▲公共資金管理基金から8兆ウォン（＝約8,400億円）▲養穀会計特別基金から2兆ウォン（＝約2,100億円）、合計50兆ウォン（＝約5兆2,000億円）を限度に政府にお金を貸すことができる。ところが政府は3月に統合口座の限度額を使い果たし、公共資金管理基金から合計4回、合わせて8兆ウォン（＝約8,400億円）を更に借りていた。

政府が公共資金管理基金からもお金を借りたのは2020年6月以来4年ぶりのことだ。公共資金管理基金とは、複数の基金から引き出して集めておいた基金を指す。財政状況が悪化した他の基金に投入したり、国債の発行や償還に使ったりする。政府は、統合口座の限度まで使い果たした後も、お金が足りなくなると公共資金管理基金から金を借りる。

◇国税収入の穴を埋めるために借り入れを増やす・・・インフレ圧力が高まる可能性も

政府は通常、使うお金に比べて入ってきたお金が少ない場合、一時借り入れ金や財政証券の発行などを活用して必要な資金を充当する。財政証券は満期（63日）がある一方、韓国銀行から借り入れたお金には満期がない。政府としては、韓国銀行から借り入れた方が財政証券の発行よりもはるかに効率的で簡単なのだ。

今年の一時借り入れ金の額が特に大きいのは、昨年の景気減速の影響で法人税などの国税収入が大幅に減ったためと見られる。企画財政部によると、今年6月までの国税収入は168兆6,000億ウォン（＝約17兆7,000億円）で、1年前より10兆ウォン（＝約1兆円）減少した。予想される今年の国税収入367兆3,000億ウォン（＝約38兆5,000億円）に対する進度率は現在45.9%にとどまっている。

一時借り入れ金が増えれば市中の流動性が増える可能性があるため注意する必要がある。韓国銀行の発券力を直接行使するために通貨が増え、インフレ圧力が大きくなるためだ。韓国銀行の金融通貨委員会もこのような点を懸念し、1月には一時借り入れ金の平均残高が財政証券の平均残高を上回ってはならないという付帯条件を提示したりもしている。

明知大学校経済学科のウ・ソクジン教授は「政府が韓国銀行から短期間で資金を借りて返済する場合は通貨の量は瞬間的に増えるだけだが、継続的にお金を借りる時は状況が変わる」とし、「今のように政府が月に15兆～16兆ウォン（＝約1兆5,000億～1兆6,000億円）、半月に7兆～8兆ウォン（＝約7,300億～8,400億円）を借り続けていけば通貨の量が長期間増える効果があり、物価を上昇させる圧力が生じることになる」と述べた。

オ・ギヒョン議員は「政府に対する一時貸付金の規模も問題だが、常習的に中央銀行に借り入れを要請することも大きな問題」とし、「特に、今年の第1四半期には統合口座の借り入れ限度の40兆ウォン（＝約4兆2,000億円）をすべて使用した上に、公共資金管理基金の借り入れ限度の8兆ウォン（＝約8,400億円）もすべて使用したことだ。これは当時の財政状況が非常に深刻だったことを意味する」と述べた。