退任を控えて訪韓した岸田、過去に対する反省・謝罪はなし

岸田首相は今日、大統領室で開催された尹大統領との会談の冒頭発言で、昨年2度行われた首脳会談で出た歴史問題に関する発言を取り上げた。岸田首相は昨年3月の東京首脳会談について取り上げながら、「当時、私は1998年の韓日共同宣言を含め、歴史認識に関する歴代内閣の立場を全体的に継承していることを明確に述べた」と語った。また昨年5月にソウルで開かれた首脳会談についても触れながら強制動員について「ここソウルで私個人として当時多くの人々が困難な環境で非常につらく悲しい経験をしたことについて胸が痛むと申し上げた」と述べた。

直接的な謝罪や反省など進んだ表現は出てこなかったわけだ。岸田首相が言及した「歴代内閣の立場」には、確かに「痛切な反省と謝罪」などの表現が盛り込まれた宣言や談話も含まれてはいるものの、2015年に行われた安倍元首相の70年談話のように明白な謝罪や反省が欠けているものも含まれているからだ。当時、安倍元首相は「戦争とは無関係の未来世代の子供たちが謝罪を続けるような宿命を背負わせてはならない」と述べている。その後も日本は2021年4日の閣議決定で「従軍慰安婦」という表現は軍が関与したと誤解を招く可能性があるという理由で「従軍」を取り除くだけでなく、「強制連行」という単語の代わりに「徴用」が適切であるという立場を堅持している。「徴用」とは強制動員が合法的であるという意味を内包する。

（中略）

政府が日帝強占期に行われた強制動員の被害者に対して第三者弁済案を提案したことを発表してから韓日関係の改善は急速になった。尹錫悦政府になってから韓日首脳会談は今回を含めて計12回開かれてきた。その間、政府は日本の福島汚染水の放流に同調するだけでなく、佐渡鉱山の世界文化遺産の登録にも賛成するなど、敏感な事案で相次いで日本に譲歩しているという批判も提起されてきた。

韓国側は自分から日本に譲歩して「先に自分がコップに半分の水を入れれば日本が残りを入れてくれる」と期待してきたが日本の反応はなかった。日本は依然として外交青書や教科書などに独島の領有権の主張しているし強制動員を認めないなど歪曲された歴史認識を維持している。日本の敗戦日（韓国の光復節）の8月15日に現職の防衛相が靖国神社を参拝するなど、むしろ後退する様相まで現れているのだ。

（後略）