尹が深夜に独断的に非常戒厳令を宣布

尹大統領は今日午後10時25分頃、龍山大統領室で「従北の反国家勢力を一挙に排除し、自由憲政秩序を守るために非常戒厳令を宣布する」と述べた。戒厳令の宣布は憲法と戒厳法によって大統領が下すことができる権限だ。大韓民国憲法第77条1項で「大統領は戦時や事変、それに準ずる国家の非常事態で軍事的に必要性があったり、公共の安寧秩序を維持する必要があるときは、法律の定めるところにより戒厳令を宣布することができる」と規定している。

しかし、今日の戒厳令の宣布は明らかに違法だ。戒厳令を宣布するためには国務会議を通じて行わなければならないが、今日の閣議では関連の手続きが行われていない。今日の戒厳令の宣布は法的な要件さえ備えていないのだ。大韓弁護士協会は午前0時頃に声明を通じて「尹大統領の非常戒厳令の宣布は、自由民主主義と憲政秩序を破壊する違憲行為」とし、「大統領自らがすぐに非常戒厳令を解除するよう促す」と述べた。

それでも尹大統領は大韓民国の状況を「戦時や事変またはこれに準ずる国家非常事態」として非常戒厳令を下した。尹大統領は「これまで国会は現政府の発足以来、22件の政府の官僚に対して弾劾訴追を発議しており、今年6月に第22代国会が発足した後も10人の弾劾を推進している」（※）とし、「これは世界のどの国においても類例がないだけでなく、我が国が建国してからも前例のない状況」と恣意的に判断した。

※ 現在韓国の国会では6割近い議席を最大野党の"共に民主党"が持っており、様々な手を使って尹大統領の国政運営を妨害している

尹大統領は戒厳令宣布の根拠を最近の"共に民主党"の弾劾の動きのせいにした。尹大統領は「裁判官を脅かし、多くの検事を弾劾するなど司法の業務を麻痺させ、行政安全部長官、放通委員長、監査院院長、国防長官を弾劾しようとする動きによって政府までも麻痺させている」とし、「国家予算の処理においてもすべての主要予算を全額削減しており、国家の機能を毀損するだけでなく、国民を麻●天国に陥れ、治安を恐慌状態にした」と主張した。

毎年、与野党は来年度予算案を巡って対立しているにも関わらず、民主党の主導で来年度の予算案が上程されかけた最近の動きに対して尹大統領は「民主党は来年度予算で災害対策予備費1兆ウォン（＝約1,100億円）、子供の世話支援手当て384億ウォン（＝約42億円）、青年雇用や深海ガス田開発事業の4兆1,000億ウォン（＝約4,500億円）、更には軍初級幹部の給料・手当ての引き上げや当直勤務費の引き上げなど、軍幹部の処遇の改善にさえブレーキをかけた」とその理由を挙げた。

（中略）

また戒厳令の理由を就任当初に明らかにした従北勢力に対する反感にも頼った。尹大統領は「私は北朝鮮の共産勢力の脅威から我が国民を守り、韓国国民の自由と幸福を略奪する破廉恥な従北反国家勢力を一挙に撲滅し、自由憲政秩序を守るために非常戒厳令を宣布する」とし、「私は今回の非常戒厳令を通じて亡国の奈落に落ちつつある自由大韓民国を再建し守り抜くだろう」と主張した。

そして「そのために私は今まで敗悪を働いた亡国の元凶である反国家勢力を必ず撲滅する」とし、「これは体制の転覆を狙う反国家勢力の蠢動から国民の自由と安全、そして国家の継続の可能性を保障し、未来世代にきちんとした国を譲るために不可避な措置」と強弁した。また「私はできるだけ早く反国家勢力を排除し、国家を正常化させるつもり」とし、「戒厳令の宣布により、自由韓国の憲法の価値を信じて従ってついてきて下さった善良な国民に多くの不便をかけることになるが、このような不便を最小化するために力を注いでいく」と強弁した。

（後略）